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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　撮影： Foward inc 　楠瀬 友将

愛媛県今治市衣干町の歯科医院

この歯科医院は、奥行きが深く間口が狭いという特徴的な敷地を最大限に活用して建てられました。
具体的には、奥行き36メートル、間口12メートルという細長い敷地に、6台分の駐車場と、患者さんがプライバシーを保てるよう配慮された6つの個室診察室がゆとりを持って配置されています。
建物の設計においては、限られた間口を最大限に活かすため、隣地いっぱいにまで建物の幅を広げました。これにより、院内の機器配置や、患者さんやスタッフの動線に十分なゆとりが生まれ、スムーズで快適な空間を実現しています。
医院の入り口では、深い軒が特徴的なゲート状のアプローチが、訪れる人々を温かく迎え入れます。この軒は、その高さによって内部と外部の空間が一体であるかのような連続性を生み出し、待合室まで繋がる開放感のある空間を作り出しています。

建物の側面は、メンテナンスのしやすさと周囲の景観への調和を考慮し、あえて主張を抑えた黒い金属板で仕上げています。これにより、建物全体がシャープな「黒いキューブ」のような印象を与えています。
一方、建物の正面であるファサードは、温かみのある杉板と、透明感のあるカーテンウォールによって、内部の様子が感じられるようなデザインとなっています。この「黒いキューブ」との鮮やかなコントラストは、通りを行く人々の目を引きつけ、医院の顔として強い印象を与えます。院内の明るく開放的な雰囲気は、この透明なカーテンウォールを通して外にも伝わり、建物全体が「看板」として機能しているのです。

この歯科医院は、機能性とデザイン性を両立させながら、今治の街に溶け込み、訪れる人々を心地よく迎え入れます。

あらき歯科　HP

DATA
木造　2階建
延べ床面積：208㎡
施工：（株）川下建設